小詩集 毛錢の雨
雨の鳥
誰やら雨の中で啼いている
キキッ、キキッ
雨も大声
鳥も大声
なんの危機だか
あまり啼き続けるものだから
傘をさして
双眼鏡を手に表に出てみた
どこで
なにを訴えているのか
そっと動いたはずなのに
傘がくるっと回ってしまって
黒い影が一羽
雨をついて
北の遠くへ飛んでいくのを見た
鳥よ
このことは
口をつぐんでおいてもいい
(c) kotaro izui 2015
毛錢の雨
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